New Origamizer

Tomohiro TACHI

一枚の紙から折るだけでありとあらゆる立体形状を実現するアルゴリズム

一枚の紙を折って様々な形状に加工する「折紙」は、機能を持った立体構造やマイクロスケールの形状の作成方法として着目されています。舘が2007年に公開したソフトウェア「オリガマイザ」は、複雑な多面体形状を隙間なく一枚の紙から折るための展開図を生成できるシステムですが、形状によっては生成に失敗することもあり、実現可能な形状の理論的限界は分かっていませんでした。一方、折紙が任意の多面体形状を実現できることは ドメインらによって1999年に証明されていましたが、この手法では折った形状に無数の隙間が生じ、「水密性」が保持されず、実用性に課題がありました。

舘とドメインは、「ありとあらゆる多面体」について「水密に」折り出すことができるアルゴリズムを提案しました。この成果は、立体形状実現の方法としての折紙にほぼ限界がないことを示したものです。平面材料に折り線パターンを施し、その折り線パターンに沿った折り変形を発生させる「自己折り」手法への応用によって、ありとあらゆる三次元形状が平面から自動的に折り出せる革新的技術への展望があります。

この成果は33rd International Symposium on Computational Geometry (SoCG 2017) (ブリスベン, オーストラリア, 2017/07/04~2017/07/07)で発表されます。

図:アルゴリズムの全体像

図:左:「隙間のある」折り状態[Demaine Demaine Mitchell 1999] 右:「水密な」折り状態[Demaine and Tachi 2017]